【レンドルvsキャッシュ】

 

※データはATPより引用
Pat Cash (AUS) vs. Ivan Lendl (USA)
1983-06-20 Wimbledon Grass R16 Ivan Lendl (USA) 6-4 7-6 6-1
1983-11-28 Australian Open Grass R16 Ivan Lendl (USA) 7-6 6-3 6-3
1984-08-27 U.S. Open Hardcourt SF Ivan Lendl (USA) 3-6 6-3 6-4 6-7 7-6
1986-10-13 Sydney Indoor Hardcourt SF Ivan Lendl (USA) 7-5 6-2
1987-01-12 Australian Open Grass SF Pat Cash (AUS) 7-6 5-7 7-6 6-4
1987-06-22 Wimbledon Grass F Pat Cash (AUS) 7-6 6-2 7-5
1987-10-12 Sydney Indoor Hardcourt F Ivan Lendl (USA) 6-4 6-2 6-4
1988-01-11 Australian Open Hardcourt SF Pat Cash (AUS) 6-4 2-6 6-2 4-6 6-2
Ivan Lendl (USA) leads 5:3
Hard: Ivan Lendl (USA) leads 3:1
Clay: Tied 0:0
Grass: Tied 2:2
Indoor: Tied 0:0

【1987年ウィンブルドン決勝の顔合わせ】

レンドルの5勝3敗。

この2人、何といっても1987年ウィンブルドン決勝での対戦だろう。
キャッシュといえば1987年ウィンブルドンチャンピオンだ。

この決勝の組み合わせが決まった時、誰もがレンドルの悲願達成を信じた。
しかし蓋を開けてみればレンドルは絶不調。ほとんど何もせずに敗退してしまった。
あの安定感が武器のレンドルが信じられないようなミスを連発した。
キャッシュの強さより、レンドルの自滅が目立った試合だった。

ただ、キャッシュの勝利がフロックだったわけではない。
キャッシュは、この前後、87年の全豪と88年の全豪でもレンドルに勝利している。
特に1987年はレンドルのグランドスラムでの敗戦の全てをキャッシュが与えたことになる。

こう見るとキャッシュレンドルキラーであるかのように写るが、実際はそうでもない。
全体ではレンドルが勝ち越しているし、グランドスラムトータルでも3勝3敗だ。
そう思わせてしまったのは、
ウィンブルドン決勝という目立つ場所で負けを喫したレンドル自身に責任がある。



【オーストラリア期待の星】


オーストラリアはかつてテニス王国だった。
ロッド・レーバー、ケン・ローズウォール、ジョン・ニューカム、トニー・ローチ・・・
しかしその後、長い間トップ選手を輩出できなかった。

80年代に入り、久々に登場した新星パット・キャッシュは、
復権を目指すオーストラリアテニス界の期待を一身に背負うこととなった。

しかし、生涯獲得タイトル数は6
グラスコート勝率73.76%は立派だが、クレーコート勝率は40%
生涯勝率も61.89%で、毎年トップ10に入るか入らないかという選手だった。

他のトップ選手たちとの対戦もほとんど負け越しだった。
唯一ビランデルにだけは勝ち越していた。対戦成績は5勝4敗。グランドスラムでも、
あのグランドスラムに強いビランデルを相手に4勝1敗と大健闘だった。

キャッシュは、地元開催の全豪で、
1987年と1988年の2度、いずれもレンドルを破って決勝に進出した。
87年はエドバーグ、88年はビランデルが決勝の相手だった。
いずれも敗退はしたが、フルセットの激戦となった。
特に88年のビランデル戦は、これが唯一グランドスラムでビランデルに喫した敗北だったが、
最終セット8-6という壮絶な試合であった。
この辺りがキャッシュのキャリアハイライトだったと言える。

 
結局オーストラリアテニス界が本格的に覇権を取り戻すには
パトリック・ラフターレイトン・ヒューイットの登場を待たねばならなかった。



【プレースタイル】


純正のネットプレイヤー。このタイプの選手は90年代にはほとんどいなくなる。
トップ選手としては、ほぼ最後の選手と言えるだろう。

サーブは、ベッカーほどのビッグサーブではなかったが
ネットダッシュのためには不足のない威力をもっていた。
回転を多くかけるタイプのものではなく、オーソドックスなサーブだったといえる。
フォームは右足着地という旧式のオーストラリアスタイルだった。
ネットに詰めるスピードは流石に速かった。

ストロークはハードヒットするよりも相手のペースに合わせるショットが多く
ボールをライジングでコンパクトに捕らえるのがうまかった。
球足の速いコートでは特に効果的なショットだった。

しかしクレーコートではほとんど自分のプレーができなかった。
せめてもう少し足を使った粘りがあれば、なんとか戦えたのかもしれないが。

味のあるプレースタイルだが、グラスコートが減ってから、
このスタイルの選手がトッププレイヤーとして生き残るのは困難になってしまった。

かつてキャッシュは、レンドルがトップ10から落ちたとき、
「あいつのテニスはもう古いんだ。」などとコメントしていたが、
その時のキャッシュもランキング100位近くにまで落ちており
人のことを言っている場合ではないのでは、と思わせたりもした。



【レンドルと他のネットプレイヤーの対戦成績】


決して分が悪かったわけではないが、レンドルキャッシュにそこそこ健闘されてる。
エドバーグレンドルといい勝負をしていたから、
ネットプレーというのは対レンドルの有効なスキルなのではないかと思い、
レンドルと他のネットプレイヤーとの対戦成績を調べてみた。

対戦成績
ケヴィン・カレン9勝2敗
スコット・デイヴィス16勝0敗
ブラッド・ギルバート16勝0敗
ヨハン・クリーク10勝0敗
ヤコブ・ラセク10勝1敗
アンデルス・ヤリード11勝1敗
ティム・メイヨット17勝0敗

ここはレンドル有無を言わさぬ圧倒ぶりだった。
ネットプレーだからレンドルに勝てるなどというものではなかったことがわかる。

特にメイヨット戦、17勝0敗というのは、
ATPの対戦で全勝を記録しているもののうち、最も勝数が多い記録とのこと。
また、次点である16勝0敗が2つもあるのには驚く。


メイヨットキャッシュに匹敵する優れたネットプレイヤーだった。
ウィンブルドンに強く準決勝進出経験もある。
キャッシュとの対戦成績はキャッシュの2勝1敗。


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