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au-saga's Colum
サッカーの時間・8

 

さて、今回の大会、いよいよ1次リーグの目玉、
最も注目すべき試合が登場します。

「Group F」1次リーグ第2戦「アルゼンチンvsイングランド」です。

当然、決勝で当たってもおかしくないカードですから
ドロー決定の瞬間からあらゆる場所で取り上げられていた
注目度満点のカードです。
もう、がっつり行きます。
文も劇的に力が入っています。
長文覚悟です。


新聞記事などを見ると、
フォークランド紛争がどうだ、前回のベッカムとシメオネがどうだ
とゴシップに近い取り上げ方をされることも多いようですが、
ここでは純粋にサッカーの内容にのみ注目していきたいと思います。

第1戦の結果はアルゼンチンが1-0、イングランドが1-1でした。
これは正直言って最も順当な結果だったように思います。
結果だけを見て判断すれば、
アルゼンチンは引き分け狙いで戦うという予想も充分にできます。
しかし、第1戦の勝ちは最もアドバンテージの少ない勝ち方でした。
第3戦であたるスウェーデンも確実に勝てる相手ではありません。
そしてなにより今回のアルゼンチンは予選から一貫して
攻撃の姿勢を崩していないんです。
もちろんイングランドもここは勝ちを狙ってくるでしょうから、
それを踏まえると、ここは本気戦いになるのではないかと
大いに期待をもたせてくれます。

両チームを比較してみましょう。
まずシステムです。
アルゼンチンは攻撃的な3-4-3。
こんなシステムを採用しているチームは今回アルゼンチンだけです。
両ウィングは状況によって下がってきて中盤の役割も果たすので
攻撃偏重と言うわけでもありません。バランスがいいです。
予選ではメンバーによって4バックにしたり2トップにしたりと
様々なバリエーションがありましたが、
イングランド戦ではもちろんベストメンバー、ベストシステムで来るでしょう。

対するイングランドのシステムは、
現在スタンダードしてすっかり定着した
4-4-2ダブルボランチと見て間違いないでしょう。
左サイドハーフのレギュラーが決まっていないため、
FWのヘスキーがそこに入り、3トップ崩れのような形になることもありますが
基本としては一貫して同じ形を保っています。

守りを見てみましょう。
アルゼンチンのDFって伝統的にそうなのですが、
足があまり速くなく体格もそう巨大ではありません。
しかし読みやカバーリングに優れ、総じて守備力は高いです。
システムが3バックということもあり、DFは守備に専念できますので
足の速さなどはさほど重要ではないのかもしれません。
特にローマでプレーするサムエルはセリエAでも屈指のセンターバックです。
若手ながら非常に落ち着きのある選手で、足技に優れており、
最後尾から前戦へ一本のロングパスでチャンスを作ることができます。
他にはアジャラとポチェッティーノがスタメンということになるでしょうか。
いずれも守備能力は高く、容易に個人技では破れません。

一方のイングランドもセンターバックの人材では負けていません。
サムエルに匹敵する選手として
リオ・ファーディナンドの名前を上げることができます。
足技、スピードに優れ、当たりも強く、攻撃時の起点にもなります。
向こう10年、イングランドのディフェンスは安泰だとまで言われています。
リオの横には屈強のキャンベルが並びDFラインを作ります。
ただ、右サイドバックには弱冠の不安があります。
本来G・ネヴィルが入る予定でしたが、怪我のために欠場しています。
今大会では代わりにミルズが入っています。
ミルズは守備力に優れた選手ですが、カッとなる性格が災いし
よくカードをもらいますし、凡ミスもあります。
スウェーデン戦の失点もミルズの失敗によるものでした。
ここは控えのブラウンを使ったほうがいいように思います。

中盤は両チームとも充実しています。
アルゼンチンはいい意味でスタメンが決まってないです。
その時々でいい選手を使っているようで、
しかも誰が入っても機能するんです。
敢えてベストを選ぶならトップ下にヴェロン、
右サネッティ、左キリ・ゴンザレス、
ボランチにシメオネとなるでしょうか。
控えの面々も錚々たるもので、
構成力、展開力、個人技とどれをとっても見事な中盤です。
ヴェロンはベッカムに劣らぬ素晴らしいキックを持ち、
近代の最も完成されたトップ下の選手です。
かつてトップ下といえばオルテガタイプを指しましたが
パスセンス、当たりの強さ、守備力など近代サッカーに求められる
トップ下の技能が変化したことから、
オルテガは中盤では使われなくなりました。
ヴェロンこそが現在のトップ下の理想像です。
右サイドのサネッティ、左サイドのキリ・ゴンザレスは運動量豊富で
積極的に攻撃に絡んでいきます。
ボランチで試合巧者のシメオネは
センターバックなどあらゆるポジションをこなせる上に
ヘディングが強くセットプレーでは大きな得点源となります。

イングランドにはなんと言ってもベッカムがいます。
ベッカムの凄さは改めて語るまでもないでしょうね。
怪我の回復具合はもう大丈夫なのかという点と、復帰後
スウェーデン戦でしか実戦を行っていないという点がやや不安ですが、
第1戦でも見せてくれた芸術的な右足を堪能したいものです。
そしてイングランドの中盤にはベッカム以上に重要な選手がいます。
センターハーフのスコールズです。
豊富な運動量、質の高い動き、強烈なミドル、2列目からの飛び出しと
ダイナモとゲームメイカーを兼ね備えたような名選手で、
試合によってはあまり目立たないことがあるのも事実なのですが
イングランドにとってはなくてはならない存在です。
スコールズとペアを組む相手は、
同じく素晴らしい選手であるジェラードが確定していました。
しかし、直前の怪我で離脱してしまいました。
今回の大会は怪我で出場しない選手が多すぎですが、
中でもジェラードの欠場はフランスのピレスと並んで最も残念なことです。
中盤の比較ではアルゼンチンの方が有利でしょう。
イングランドの中盤はジェラードの欠場に加えて
左のスタメンが確定していません。
いろんな選手を試したようですが、
若手のジョー・コールか、FWのヘスキーを使うようです。
ヘスキーを使う場合は変則的な3トップになるかもしれません。

FW対決は見所満載ですね。
アルゼンチンはバティとクレスポのどちらを使うのか最後までわかりません。
第1戦はバティでしたが、次もそうという保証はないのです。
どちらにしても破壊力は満点です。
練習で少し試した2人で2トップを組ませるというシステムは
けが人が出るとか、結果が出せなかったとか、
何かがない限り使われることはなさそうです。
右のオルテガは一時期スランプに陥りましたが
完全にFWとしてプレーすることで、復活を果たした感があります。
それでもスタメンは保証されておらず、
ベテランのカニージャが入るかもしれません
左のクラウディオ・ロペスはそのスピードが見ものです。
オーウェンとはまた質の違う長距離を独走するタイプのスピードです。

イングランドのエースはもちろんオーウェンです。
瞬間の加速、そして特に最近磨かれてきた得点感覚に注目です。
アルゼンチンのディフェンスはマークが強くそして巧いので
簡単には突破できません。対決は見ものです。
もう一人のFWはバッセルでしょうか。
オーウェン同様小柄でスピードを活かした豪快なプレーをします。

一昔前だと、アルゼンチンの攻めはショートパスと個人技、
イングランドの攻めはロングボールでFWの高さを活かしたもの、
だったのですが、今はもう全然違いますね。
イングランドの2トップは小柄で速い選手です。
10年前にはこんなことはありませんでした。
FWは大きく強い選手でした。
今回もヘスキーという大きく強いFWが選ばれていますが
彼はMFでもプレーできるような、柔軟でテクニックに優れた選手です。
決して昔のイングランドタイプのFWではないのです。

速さではイングランドが上回っていますが
選手層と個人技ではアルゼンチンが勝っています。
トータルでもアルゼンチンが有利だと思います。
1勝しているというのも精神的に有利かもしれません。
しかし、ここの所のイングランドの精神的な強さ、
集中力の高さは特筆すべきものがあります。

今大会の最注目試合は終わってみても
最注目試合であってほしいものです。

そして試合の行われる明日、
私は有給休暇を取ります。

2002.06.06

 

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