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au-saga's Colum
サッカーの時間・17

 

諦めが悪い。
これはかっこ悪いことです。
ペルージャのガウチ会長のコメントは既にご存知でしょう。

(詳しくご存知でない方はコチラ↓)
http://www.asahi.com/sports/update/0619/019.html

ここまでの現象を引き起こしてしまう、それがワールドカップなんだ、
みたいなことをうそぶいていた番組がありましたが、
そんなことはないんじゃないでしょうか。
ガウチの行動は思いっきり行き過ぎた例であります。
もともとガウチってがおかしな発言をする人でした。
しかも今回は、はっきり言ってガウチは無関係の人間です。
応援していたチームが負けたのが悔しくて
ピーチク吠え立てているという、
むしろ醜態をさらしてしまって気の毒な人でさえあります。

この他にも
1つのことをいつまでもグチグチ言っている例は多くあります。
今回は審判の判定問題が多く取り沙汰されており、
中には本当に気の毒なものもあります。
しかし、それについて必要以上にがなりたてたり
いつまでもネチネチ引っ張ったりしていると
もっと紳士的な考え方ができないものかと首をかしげてしまいます。

ご存知ベッケンバウアーは、監督としても選手としても
ワールドカップで優勝しているという歴史上稀有な人物です。
しかし未だにイングランド戦での疑惑のゴールを根に持っているらしく、
何かにつけてあれはゴールではなかった、と発言しています。

66年決勝西ドイツ対イングランド、2-2で迎えた延長戦のことです。
イングランドハーストの蹴ったボールが西ドイツゴールのバーを直撃しました。
ボールは真っ直ぐ下に落ち、ゴールの外に跳ねたのです。
微妙な判定でした。主審がすかさず、線審を呼びました。
しかし、線審はその瞬間ゴール横にはいなかったのです。
そして主審はゴールを宣告しました。
西ドイツの選手は猛抗議しましたが判定は覆りませんでした。
ハーストはさらに1点を挙げ、イングランドが4−2で初優勝しました。

これには後日談があります。この試合から16年後の1982年、
ハーストがプールで泳いでいるとベッケンバウアーが近づいてきました。
そして真顔で言ったのです「あれは入っていなかった」と。
ハーストは戸惑い「主審と線審が判断したことだ」とだけ答えました。

もしかしたら本当にノーゴールだったのかもしれません。
また、そのワンプレーにかけるベッケンバウアーの執念を、
絶賛すべきだという見方もあるでしょう。

しかしです。私が思うに、西ドイツにとっての一番の問題は、
ボールの跳ねた場所がゴールラインの内側かどうか、などということではなく、
ゴール前にボールを運ばれてシュートを打たせてしまった、
ということなのではないでしょうか。
ゴールになる要素は充分に出来上がってしまっていたのです。
わずか数センチをああだった、こうだったと言うのは
名選手、名将としての相応しい行動ではないように思われます。

その前にシュートを打たせない方法があったのではないか?
先に点を取る方法があったのではないか?
すぐに気持ちを切り替えて点を取り返すことができたのではないか?
このように考えるのが本来の姿であるように思います。

イタリアが韓国に負けた試合もそうです。
トッティの退場が不当だったと言われていますが、
その前に守りに入って守りきれなかった時点で
イタリアはすでに作戦負けをしていたのです。

勝つことに執念を燃やすチームはこの辺大いに執着するみたいです。
どうもこのような話では私の好きな人物の話になって恐縮ですが、
1998年フランス大会でのドイツの話を取り上げます。
このときドイツはベスト8に進んだのですが、
伏兵クロアチアに3-0で完敗してしまいました。
「サッカーの時間No.13」のゲルマン魂の回でも取り上げましたが
このときのドイツはもう思いっきりゲルマン魂の塊でした。
負けたあとのドイツ選手団の荒れようには凄まじいものがありました。
フォクツ監督を始め、キャプテンのマテウスから選手一同、
チーム関係者に至るまで、全員でクロアチアのチームと
笛を吹いた審判をこれでもかと非難したのです。
それはもう怒りの意味さえ分からぬほどの幼稚な八つ当たりで、
だだっ子がわめいているだけのように聞こえました。
そのドイツの中でただ一人このようなコメントを残した選手がいました。
「強いほうが勝つというのがサッカーだ。
 今日のクロアチアは勝者に値するプレーをした。
 私は彼らの勝利を称えたい。」
ユルゲン・クリンスマンです。
かっこいい。

私が選手を好きになる要素としてこの辺は重要です。
ベッカムなんかもそうです。顔がかっこいいから、とか
そんな理由でベッカムを気に入ったりはしません。
今回のブラジル戦での敗退後もそうですが、
彼はいつも相手チーム、相手選手を称えます。
そして決して悲観的にはならないんです。
ベッカムなら次はやってくれるんじゃないか?
そんな期待も抱かせてくれるのです。

負けた時ににじみ出るかっこよさ。
選手が真のスターになる瞬間です。

2002.06.24

 

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