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au-saga's Colum
サッカーの時間・13

 

今回はコラムとして「ゲルマン魂」を取り上げてみました。

調べてみると、
ドイツがゲルマン魂を発揮した試合というのは想像以上に多いのです。
何点差をひっくり返したとか、ロスタイムで同点に追いついたとか
1人少ないのに勝ったとか、そういった試合はたくさんあります。
もうとても全部を紹介することはできないのですが、
ここでは私が知っているうち、
いくつか印象の強いものを紹介しましょう。

※1989年以前は正確には西ドイツですがここではドイツとしています。


<1954年 ワールドカップ決勝 対ハンガリー戦>

 決勝での対戦だが、開幕戦でもこの2チームは当たっており
 その時には優勝候補の呼び声高かったハンガリーが
 「8-3」でドイツを圧倒していた。
 決勝もハンガリー有利の声は強く、
 前半終了した時点で「2-0」とハンガリーがリード。
 誰もがハンガリーの優勝を確信した。
 しかし、後半に入りドイツが3点を取り、
 なんと逆転優勝してしまった。

<1970年 ワールドカップ準決勝 対イタリア戦>

 ドイツ1点ビハインドのままロスタイムへ入る。
 このまま終わりかと思われたその矢先、
 ドイツのシュネリンガーのゴールが決まる。
 延長戦は壮絶な点の取り合いとなった。
 ドイツが勝ち越し、すぐにイタリアが追いつく。
 今度はイタリアが逆転したが、
 ドイツのゴールが決まって振り出しに戻る。
 世に言う「アステカの死闘」だが
 最後はイタリアがゴールを決めて決勝に勝ち上がった。
 息詰まる死闘を戦い抜いたイタリアは疲労困憊し、
 ブラジルの前に為す術もなく敗れた。

<1982年 ワールドカップ準決勝 対フランス戦>

 プラティニ擁するフランスは優勝候補だった。
 対するドイツはスター不在でフランス有利とされていた試合だ。
 試合はリトバルスキーのゴールでドイツが先制するも
 追いつかれて延長戦へと突入する。
 延長ではフランスが2点を入れ、ほぼ勝利を手中にする。
 しかしここからドイツの猛反撃が始まり、
 2点差を追いついてしまう。
 結果、PK戦に突入してドイツがフランスを下した。

<1990年 ワールドカップ決勝トーナメント1回戦 対オランダ戦>

 ここでもオランダは優勝候補の筆頭だった。
 ドイツは2トップが引っかき回す作戦に出たが、
 FWフェラーがライカールトと小競り合いを起こし、
 2人とも退場となってしまう。。
 ドイツとしては作戦が崩れてしまった。
 豪華な攻撃陣が健在なオランダが有利かに思えたが、
 クリンスマンが1人でオランダディフェンスを翻弄、
 オランダはそのスピードについていけずドイツが勝利を収めた。

<1994年 親善試合 対ブラジル戦>

 この試合はワールドカップではなく前哨戦なのだが
 印象に残っている試合なのでピックアップしてみた。
 このころドイツのサッカーは、
 フィジカルと精神面だけに頼っていると批判されていた。
 一方のブラジルは最強の布陣を整えていて万全だった。
 現に大会ではブラジルが優勝を果たしている。
 名目上は最強軍団同士の対決だが、
 ドイツが果たしてどこまでやれるのかという見方がされていた。
 試合が始まると、ブラジルが一方的にゲームを支配し、
 前半だけで3点を取って大きくリードした。
 しかし後半に入って形勢は逆転。
 クリンスマンのハットトリックで追いつき
 ドイツが引き分けに持ち込んだ。


以上が私が選んだゲルマン魂炸裂の試合です。

そして最後の試合には後日談があります。
この試合ではなんとか追いついたドイツですが、
結局、本大会では準々決勝で敗退してしまいました。
いいかげんフィジカルと精神面だけに頼る戦い方は
やめにする必要があると判断されました。

しかし、その2年後、
1996年の欧州選手権では
改革不十分のままでの参加を余儀なくされました。
結果は・・・ドイツの優勝でした。
決勝はロスタイムでVゴールという
正にゲルマン魂炸裂の戦い方で。

いけるじゃん、と判断されたのかはわかりませんが、
1998年のフランスワールドカップには、
そのまま魂の塊みたいな状態で突入しました。
そしてまたもや準々決勝で敗退しました。

ワールドカップ後には
ブラジルとドイツは再び親善試合を行いました。
かろうじて魂の中に技術を注入していた
ザマーやクリンスマンはもういませんでした。
マテウス1人ではどうすることもできず
結果はたしか「5-0」だったと思いますが、
ブラジルの圧勝に終わりました。

そしてここへ来てようやく本格的な魂のみの戦い方からの脱却、
これを実践しよう、ということになったのです。
最近のドイツには技術の高い選手が多く、
ディフェンスもラインとマンマークを併用、
システムも3バックにはこだわらず、
人材が居なければリベロシステムさえも使わない、
という伝統にとらわれない戦い方ができるようになってきました。

ただし、まだ未完成で、
今大会の予選では宿敵イングランドに「5-1」で破れるなど
荒さも残っています。

しかし、
このまま技術を加えた上に魂も失うことなくチームを作っていけば
次回の自国開催ワールドカップでの王国復権も充分期待できるでしょう。

いや、今大会でもすでに最有力の優勝候補が消えています。
優勝の可能性は充分にあります。
あくまでも個人的な意見では、
まだ優勝しないほうがいいようには思いますが。

ちなみにワールドカップでは、不思議なことに
ドイツとブラジルの対戦は一度も行われていません。
今回、両国が勝ちあがれば決勝で当たることになるのですが、
発展途上のドイツと歴史上最弱とされるブラジルですから、
正直まだ当たって欲しくないです。
両国のワールドカップでの最初の対決、
これはもう最強同士の対決でなくてはならないのです。

2002.06.13

 

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